余談はムダじゃない!話に人柄をにじませて、魅力的に伝わる話に【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。
他人が、スピーチやセミナーなどで話しているのを聞いた時、
「なんだか魅力的な人だなぁ」
「優しくて親しみやすそうな人だなぁ」
などと、感じられたことがあると思います。
ずっとニコニコしているなどの、見た目の印象だけではなく、
例えその人がすごく強面(こわもて)で、
とっつきにくそうな容姿であっても!(笑)、
話を聞いているうちに、
「パッと見の印象と違って温かい人だ」
「おもしろい人だ」
とイメージが変わることも、あるでしょう。
それは、その人の話に、
良い”人柄”が表れているからなんですよね。
それを感じると、聞き手は、
その人に親近感を持って、もっと話を聞いていたくなります。
話を聞いているのが、無意識に心地よいんですね。
逆に、一見、愛想は悪くないのに、
話を聞いていると、
「なんだか冷たそう」
「とっつきにくそう」
「つまらない」
という印象を与える人もいるんですね。
そうなると、その人の話を聞いているのが、ちょっとストレスになってきます。
では、どうすれば、話の中に”人柄”をにじませて、
親しみやすさを持ってもらい、魅力的な印象を与えられるのでしょうか?
それは、
話の中に「自分の本音」や「パーソナルなこと」を適切に入れていくことです。
真面目な方などは、
「仕事の話をしている時に、自分の個人的なことを言うのは余談だ」
「本音と建て前は違うから、本音を言ったら立場上ダメだ」
とおっしゃいます。
もちろん、話の本筋からそれるほど、個人的なことを長く話したり、
言うべきではない”本音”をぶちまけたりするのはダメです。
ここは、適切なタイミングで、適切な長さで、
本音やパーソナルなことを入れていくのがポイントなんです!
では、例をあげてみましょう。
例1:他の部署への周知や依頼
まずは、普段ほとんど交流のない、他部署のメンバーに集まってもらって、
周知や依頼をする場面を想定しましょう。
つまり、聞いている人達は、話す側の人柄をあまり分かっていない、という状況です。
必要事項のみを言った場合
『避難経路を確保するために、廊下や階段に物を置かないようにお願いします。
以前、東京のビル火災で、 階段が、物置がわりに使われていたために避難が遅れて、 44人が亡くなったという事例がありました。
このような事態にならないためにも、置いてある荷物を移動させて、日ごろから整理整頓に努めてください。
ご協力よろしくお願いします。』
上記では、言うべきことだけをしっかり言っています。
もちろん、これがちゃんと伝わって、みんなが言うことを聞いてくれたらよいのですが、
なんだか「事務的」な印象があって、
「積極的に指示に従う気持ちが起きない」人もいそうです。
では、ここに少し、本音やパーソナルなことを盛り込んでみましょう。
必要事項+パーソナルなことを入れた場合
『避難経路を確保するために、廊下や階段に物を置かないようにお願いします。
以前、東京のビル火災で、 階段が、物置がわりに使われていたために避難が遅れて、 44人が亡くなったという事例がありました。
私は当時のニュースをよく覚えているのですが、火や煙が迫っている中で、逃げられない恐怖と無念さに、心が苦しくなりました。
このような事態にならないためにも、置いてある荷物を移動させて、日ごろから整理整頓に努めてください。
こういう私自身も、整理整頓は苦手で、なんでも積み上げてしまう癖があるのですが、日ごろの行いが災害時の命を救うという気持ちで、皆さんと一緒に片づけていこうと思います。
片付けが得意な方は、ぜひ、コツを共有してください。
ご協力よろしくお願いします。』
いかがでしょうか?
黄色下線の部分で、個人的な経験・気持ち・本音などを盛り込んだので、
少し話は長くなりましたが、
それでも20秒ほどプラスになった程度でしょうか。
“話の長さ”よりも、
その人の言いたいことが伝わりやすくなって、
聞く方もすんなりと従える気持ちになりませんか?
それは、この話から、”人柄”が感じ取れたから、と言えます。
あまりよく知らない人からの依頼や提案は、
正当なものであったとしても、聞き手は心が動きづらいものです。
そんな時に、個人的な気持ちや、経験などを、適切に盛り込むことで、
聞き手は親近感や共感を覚えやすくなり、
すーっと心に入ってくる話になるのです。
例2:セミナーやプレゼンで説明する
続いての例として、
セミナーやプレゼンで、商品の説明をする場面を想定してみましょう。
必要事項のみを言った場合
『このパソコンは、耐水性に優れていて、水中に24時間沈めておく耐水テストをクリアしています。
さらに、水だけではなく、コーヒーやジュースなどの一般的な飲み物にも、同様の耐水性が認められています。』
(架空のパソコンのお話です笑)
上記は、必要最低限のことを言っています。
これでも特に問題はないのですが、
話している人の”人柄”までは伝わってきません。
ではここに、個人的なお話を少し盛り込んでみましょう。
必要事項+パーソナルなことを入れた場合
『このパソコンは、耐水性に優れていて、水中に24時間沈めておく耐水テストをクリアしています。
丸一日、水の中にあっても壊れない、というのは、私も驚きでした。
さらに、水だけではなく、コーヒーやジュースなどの一般的な飲み物にも、同様の耐水性が認められています。
ちなみに、私は淹れたての紅茶を飲みながら、パソコンで仕事をしていることが多いのですが、
これからは、うっかり紅茶をこぼしても、焦る必要がなくなるな、と安心しているところです。』
いかがでしょうか?
黄色下線の部分で、個人的な気持ちや経験を盛り込んだことで、
話したい内容を補足・強調する効果があることもお分かりいただけるかと思います。
また、話す側の「経験」を入れる時には、
聞き手にとっても共通の出来事としてイメージできることを盛り込めば、
共感の気持ちが芽生えて、話が心に届きやすくなります。
ちらっと入れた『淹れたての紅茶』というキーワードで、
紅茶好きの人がいたら、親近感も沸くでしょうし、
「紅茶好きなんて、この人のイメージと違う!」
というギャップで、おもしろいと思ってもらえることもあるかもしれません。
パーソナルな話題が、話の本質からはそれてはいませんし、
話の邪魔になっているわけでもありません。
まとめ
このように、
話す側の個人的な経験・気持ち・本音を、適切に交えていくことで、
こちらの言いたいことが補強されて、
なおかつ、“人柄”を感じ取れる魅力的な話になるのです。
ですが、あくまでも、パーソナルな”余談”は、
話の本質に沿ったものでなければなりません。
「私が~」「私も~」と多用することは、逆効果ですから避けるべきです。
言いたい本質の中に、たまにパーソナルな”余談”を入れることは、
聞き手の視点を変化させる意味でも、効果的なのです。
話の本質は「理論的」なことが多く、
聞き手は「頭」で整理して受け取っているのですが、
個人的な”人柄”が分かる話は、
聞き手の「心」「感情」を動かせるからです。
「余計なことは言わなくていい」
「仕事で個人的なことは言いたくない」
という偏見は捨てて、
自分のことを”効果的に”話していきませんか。