話の組み立て方として結論を先に言うべき?【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。
話すことに慣れていない方は、
「話の組み立て方が分からない」とよくおっしゃいます。
分かりやすい話し方として、一般的に、
「まず結論を先に言う」
というものがありますが、当然、これも一理あります。
しかし、結論を先に言わない方がいい場合もあるのです。
今回は、結論を先に言った方が良い場合、
先に言わない方が良い場合を、
それぞれ例を挙げて書いていきたいと思います。
1.結論を先に言った方が良い場合
次のような話では、結論を先に言います。
『私は、当社はフレックス制を導入した方が良いと考えます。
その理由は2つあります。
1つ目は、社員の8割以上が、朝のラッシュ時に1時間以上かけて通勤しているため。
2つ目は、柔軟な働き方が出来ることは、優秀な人材の確保にもつながるためです。』
このように、理路整然と説明したい場合や、
理由や具体例をあげて話したい場合などには、
結論 → 理由や具体例 → (まとめ・もう一度結論)
という組み立て方にするのが、ベストでしょう。
上記の内容で、結論を後から言った場合、次のようになります。
結論を後まわしにすると…
『当社は、社員の8割以上が通勤に1時間以上かかって、
朝のラッシュに巻き込まれていますし、
優秀な人材を確保しておくためにも、
私は、フレックス制を導入した方がいいと考えます。』
これでは、聞き手はまず『社員の8割以上が通勤に・・・』と聞いた段階で、
「通勤」の話をしたいのかな?、と心構えします。
そして次に、『優秀な人材を・・・』のワードを聞いた段階で、
通勤とは全く別の話になったことに混乱します。
結論を聞いた段階でやっと話の要点が分かり、
先に述べた理由については、聞き手の頭から消えているでしょう。
結論を先に言うパターンは、
- 業務報告
- 説明
- ミスをした場合や誤解された時などの弁明
- 注意叱責する時
などに使うことで、
聞き手を混乱させることがなくなり、
こちらの伝えたい意図がストレートに伝わります。
聞き手は、要点を先に理解して頭を整理できるので、
その後の理由や具体例などを、落ち着いて聞くことができるのです。
2.結論を後から言った方が効果的な場合
結論を後から言う場合の具体例を書いてみます。
『先月行なった、働き方改革についての社員アンケートでは、驚くべき結果が出て、当社の問題点が浮き彫りになりました。
まず、ストレスについての設問で、
「通勤ラッシュのストレス」の方が、「仕事上のストレス」よりもつらいと感じてる社員が、半数を超えていました。
私自身も、朝のラッシュでイライラしたまま仕事をしてしまったり、帰りの満員電車で疲れが倍増したりすることがよくあります。
また、「子育てや介護など家庭の事情に直面した場合、退職を考えるか?」という設問では、
70%以上の社員が、「考える」と回答しています。
これでは、優秀な人材を確保できず、将来的な経営に大きな影響を及ぼします。
そこで、当社もフレックス制を導入して、勤務時間を柔軟に調整できるようにすることをご提案します。』
上記の例文は、
結論「フレックス制の導入したらよい」を最後に言っていますが、
先に言ったとしても特に問題はありません。
ただ、そうすると理路整然とした印象になり、
言いたいことはストレートに伝わりますが、
聞き手の感情を動かす効果は薄くなります。
上記の例では、話の流れの中で、聞き手の関心を引き、共感を得ることで、
聞き手の心を動かす効果が出せます。
まず、
『驚くべき結果が・・』
『問題点が浮き彫りに・・』
と、聞き手の興味を引くワードを使って、関心をもってもらいます。
そして、アンケート結果の説明や、具体的事例などによって、
「確かにそうだ」
「気持ちは分かる」
「それは問題だな」
と聞き手の共感・感情を動かし、モヤモヤした気持ちにさせます。
最後に、これまでの伏線を回収するかのごとく、解決策(結論)を言うことで、
聞き手は納得することができるのです。
この、結論を後に言うパターンは、
プレゼンテーションやスピーチなど、話をしっかりと聞いてもらえる場面で、
問題提起する・興味関心を引く → 共感を得られる事例・説明 → 結論
という流れで話すことで、有効に使えます。
特にスピーチなどでは、
最初にずばり結論を言ってしまうと、
その後の話に興味を持ってもらえなくなる可能性もあるので、
上記の流れを効果的に使ってみましょう。
いかに、初めに聞き手の興味を引くか、共感を得るか、がポイントですので、
内容や言い回しを精査しましょう。
そして、どれだけ興味・共感を持ってもらっても、
最後の結論とつながっていなければ、聞き手はモヤモヤしたままとなり、
説得力がなくなります。
話の組み立て方は、常に結論を先に、という訳ではなく、
効果的に使い分けることをお勧めします。
どちらも、話を聞いている時に、
聞き手の頭がどう整理されるか、
聞き手の心がどう動くか、
をポイントにして組み立てていけば、うまくいくでしょう。
話す時の主役は、「自分」ではなく、
常に「聞き手」なのです。