自分では気付きにくい滑舌の癖【大阪/マンツーマン話し方教室】

ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。

 

今回は滑舌のお話です。

 

滑舌がものすごく悪い人は、

他人に指摘されたり、自分でも自覚があったりして、

問題点が明確です。

 

 

ですが、全体的な滑舌は悪くないのに、

ピンポイントできれいに発音できていない音がある場合は、

自分でも気付かず、他人からも特に指摘されずにいるため、

そのまま放置されてしまいます。

 

そのような人は、話全体としては意味も分かるし聞き取れるけれど、

ちょっと舌足らずな印象を持たれたり、

言葉がぼやけて聞こえる印象になったりするんですね。

 

 

これは、なかなか気付きにくいことなので、

自分の話を録音して聞いていただくのが一番です。

 

一度気付くと、その後は、発音した時に自分で分かるようになります。

 

 

実際に、レッスンで私が指摘してから、自分で意識するようになった生徒さんは、

うまく発音できなかった時には、

「今のはダメでしたね」と、

自分で分かるようになっています。

 

 

まずは、以下の音が自分できちんと発音できているか、気にかけてみてください。

 

以下に挙げたのは、

「発音する時に、余分に口の操作をしなければならない音」で、

多くの人が発音しにくい共通点があります。

 

 

  1. 『わ』

  2. 『ざじずぜぞ』

  3. 『だぢづでど』

  4. 『やゆよ』



1.『わ』

『わ』と発音するには、一

度唇を「う」の形にしてから

「あ」の形に開く必要があります。

 

唇の形だけで見ると、

「う」→「あ」と、

一音を発音するのに口の操作が多いんですよね。

 

 

『わ』と一音だけや、

「わ」で始まる時は問題なく発音できても、

『会社側は(かいしゃがわわ)』

『縄は(なわわ)』

『弱い(よい)』

のように、連続したり、

直前の音の母音が「o」だったりすると、

言葉がぼやけがちになります。

 

『わ』ではなく、「あ」に近い音で発音してしまうんですね。

 

 

その他にも、長く話している中に出てくる『わ』や、

助詞の『~は、』も、

口を動かす操作が追い付かずに、「あ」に近い音になってしまいがちです。

 

 

早口の人や、言葉が流れる癖のある人は、特にお気をつけください。

 

 

2.『ざじずぜぞ』

ザ行は、それぞれ以下のように聞こえる発音をしがちです。

  • 『ざ』 → 「ツァ」「ダ」

  • 『じ』 → 「ティ」や「チ」

  • 『ず』 → 「トゥ」や「ツ」

  • 『ぜ』 → 「ツェ」「デ」

  • 『ぞ』 → 「ツォ」「ド」

これも、

『ざじずぜぞ』と単独であれば、しっかり発音できるのですが、

『騒々しい(そううしい)』

『今月の残業時間は(こんげつのんぎょうかんは)』

のように、文や語句の途中で出てくるザ行だと、

発音が甘くなってしまう傾向があります。

 

 

サ行と、濁点がついた「ザ行」の発音の仕方の違いは、

 ◆サ行・・・舌の先っぽを使って摩擦させて作る音

 ◆ザ行・・・サ行よりも舌の奥の方まで広い範囲摩擦させる音

という点です。

 

 

『ざじずぜぞ』を発音する前には、ちょっと口を横に引いた方が

舌の広い範囲を上顎と摩擦させやすいのです。

 

この

「発音前に、少し口を横に引いて舌の広い範囲を上顎とくっつける」

という細かい動作が、うまくできないと、

きれいな発音になりません。

 

 

口に力が入って固まっていたり、

口の中をあまり動かさずに話すのが癖になっている人は、

気を付けてみてください。

 

 

3.『だぢづでど』

『だぢづでど』も、『ざじずぜぞ』と共通しています。

 

ちなみに、

「ぢ」と「じ」

「づ」と「ず」

は、文字で書くと違いますが、発音の仕方は全く同じです。

 

 

余談ですが、

「を」と「お」の発音も全く同じです。

 

たまに、『を』という時に『ウォ』と発音する人がいますが、

日本語としてはおかしいのでやめましょう。

(歌う時の表現で、ウォと発音するのはありだと思いますよ。)

 

 

さて、濁点のつくダ行を発音する時には、

タ行よりも少しだけ舌の奥の方を使います。

 

そのため、「たちつてと」と言う時よりも、少し口を横に引いて、

舌の奥の方を上顎と接触させてから
ダ行を発音すると良いでしょう。

 

タ行よりも、少しだけ、舌と上顎の摩擦と破裂の力が強いです。

 

『オランダで(おらんだで)』

『~させていたきます。』

など、タ行とダ行が連続する時には、

特に言葉が流れがちになりますので、気にかけてみましょう。

 

 

4.『やゆよ』

 

『や・ゆ・よ』は、一見言いづらそうではないのですが、

長い文の途中に出てくると、

「あ・う・お」に近い発音になってしまいがちです。

 

 

ヤ行を発音する前には、

口の中を一瞬「い」に近い形にしてから

「あ・う・お」という母音の形に変えていくので、

この操作が追い付かなくなるのです。

 

 

『予約(よやく)』

『嫌々やる(いややる)』

のように、ヤ行が続く時には、発音が甘くなりやすいです。

 

 

ヤ行を発音する時には、小さい「ぃ」を入れる感覚で

『ぃや・ぃゆ・ぃよ』

と発音すると、はっきり聞こえますので、試してみてください。

 

 


 

口の中で余分な操作が必要な音は、誰もが言いづらいものです。

 

そして、話す時には、次々と音が入れ替わりますから、

正しい発音の動作が追い付かなかったり、

甘くなったりして、

滑舌に影響してしまいます。

 

自分で気付いて意識すれば直せる部分ですから、ぜひ気にかけてみて下さい。

 

 

滑舌が悪いと思っていない方でも、

より明瞭な、ハキハキした話し方に変わると思います。