滑舌良く話すために口を大きく開ける必要はありません【大阪/マンツーマン話し方教室】

ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。

 

レッスンで生徒さんに質問されることの中に、

『テレビで見る〇〇さんは、あまり口を開けずに話しているのに、

なぜ言葉がはっきり聞こえるんですか?』

というものがあります。

 

 

これについては、皆さんも疑問に思われたことがありませんか?

 

口をあまり開けていないのに、言葉がはっきり聞こえてくる人はいますよね。

 

 

 

皆さんの中には、子供の頃から

「口を大きく開けて話しなさい」

と指導された方もいらっしゃるでしょうし、

なんとなく

「口をしっかり開けなければ、はっきり聞こえない」

と思い込まれている方もいらっしゃると思います。

 

 

ですから、

「ちゃんと話すには、口をしっかり大きく開かなきゃ!」

と思う方は多いんですね。

 

 

ですが、私はレッスンで

『口(唇)を大きく開けるより、口の中(奥)の空間を適切に形作ることが大事』

とお伝えしています。

 

口の表面(唇や口周り)を大きく動かそうとすると、

逆に、滑舌が悪く聞こえてしまうこともあるのです。

 

 

そして、先述の

「口をあまり開けてないのに言葉がはっきり聞こえる人がいるのはなぜか?」

という疑問の答えは、詳細に説明すると3つあります。

 

 

  1. 口の中の空間をしっかり形作っているから

  2. 子音を正しく発音できているから

  3. 母音が音としてしっかり出ているから

1.口の中の空間をしっかり形作っているから

はっきりと発音するために大切なのは、

唇を大きく動かして、

見た目に分かるように
「あ、い、う、え、お」の形を作ることではありません

 

 

見た目はあまり口を開けてないように見えても

口の中の空間を「あ、い、う、え、お」としっかり形作ることができれば良いのです。

 

 

ですが、慣れていないと、「唇」「口の中」の動きを分けることが出来ませんから、

唇を大きく動かせば、口の中の空間も広がりやすい、ということで

「口を大きく開けて話しましょう」

というアドバイスになったりするのです。

 

 

唇を大きく動かして話すことに意識が行きすぎると、

言葉の速さに口の動きがついて行かなかったり、

口周りに余分な力が入ってしまったり、

不自然になったりもするので、

私自身はあまりお勧めしていません。

 

 

少し低めのトーンで話すると、

舌の奥(舌根)が下がって、口の中の空間も大きく取りやすくなるので、

試してみてください。

 

 

また、後ろにいる人がいると思って、

前を向いたまま後ろへ言葉を届けようとすると、

これも自然と口の奥の空間が開きやすくなりますので、

試してみる価値があると思います。

 

 

さらに、口の中に空間を大きく作って発音する練習として、

「腹話術をやってみる」方法もあります。

 

唇を動かさずに、なんとか口の中だけで言葉が作れるように、話してみます。

 

腹話術では、口の中の空間を広げないと、言葉がはっきり聞き取れませんから、

良い練習になると思います。

 

 

 

2.子音を正しく発音できているから

日本語の50音は、「ん」を除いて、すべて母音子音から成り立っています。

 

ローマ字で書くと分かりやすいのですが、

例えば「か き く け こ」の場合は

「ka ki ku ke ko」

というように、

子音の「k」と、

母音の「a i u e o」

が組み合わさった音になります。

 

 

子音は、「k」「s」「t」「r」など、母音の前に発音する音で、

舌や唇や歯や上顎などを使って、

摩擦させたり軽く破裂させたりして作り出します。

 

当然、この子音がはっきり正しく発音できていないと、

言葉ははっきり聞こえないのです。

 

 

そして、これら子音を発音するために、

大きく口を開けたり、たくさん口を動かしたりする必要はありません。

 

逆に、大きな口を開けてしまうことで、

子音を素早く発音できなくなることもあります。

 

 

3.母音が音としてしっかり出ているから

子音を正しく発音することに加えて、

母音が音としてしっかり響いていることは、

はっきりと滑舌良く話すのに大切な要素です。

 

 

よくあることですが、

「k」や「s」などの子音の方にばかり力が入ってしまって、

母音が音として出ていないと、

『シュ!』

『クッ!』

『パッ!』

のような、

摩擦音や破裂音ばかり耳に残ってしまい

日本語の言葉として響いてきません。

 

 

日本語の中で、音としてよく響くのは母音ですから、

「a i u e o」の母音がしっかりと音として出ることで、

はっきりと聞き取れる言葉になるのです。

 

母音を響かせるためには、リラックスして話すことが何より大切です。

 

上半身(胸・肩・首・口周り)に力が入ってしまうと、

どうしても子音ばかり強く発音しがち
で、

母音が音として聞こえづらくなる傾向があるからです。

 

 

リラックスして、言葉の母音を響かせるように発音することで、

口を大きく開けなくても明瞭な言葉になります。

 

 

ただし、

1.口の中の空間をしっかり形作ること

が出来ているのが前提です。

 

口の中の空間を大きく取り、

「あ い う え お」の形を正しく作ることが出来た上で、

母音をしっかり出す必要があります。

 

 

当然、これをするのに、口(唇)を大きく開ける必要はありません。

 

 


 

口を大きく開けたり、動かしたりして話そうとすると、

口の周りに余計な力が入ったり、

口が回らなくなる
ことも少なくないでしょう。

 

ハキハキ話すために、口を開けなければ!という先入観は捨てて、

口の中の空間や、響きの方に意識を向けてみましょう。