“書き言葉”ではなく”話し言葉”で話しましょう【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。
今回は、
“話し言葉”で話しましょう
という内容なのですが、そんなの当たり前だと思われますよね?
ですが、プレゼンテーション・セミナー・スピーチなど人前で話す場面では、
“書き言葉”で話している人が、結構いらっしゃるんです。
特に、「説明」する場面では、よく耳にしますね。
普段の会話では、普通に“話し言葉”で喋っているのに、
なぜ人前だと、無意識に“書き言葉”になってしまうのでしょうか。
「緊張感」や「改まった場面」になると、
少し硬い言葉 = ビジネス文書などで使用している“書き言葉”
と、変換されてしまうのかもしれませんね。
また、原稿を書いて、それをそのまま読んだり、覚えて話している人は、
原稿の“書き言葉”のまま、話してしまうこともあると思います。
“話す”ことよりも、”書く”ことの方に慣れている人も、
無意識に“書き言葉”になってしまうようです。
やはり、話す場面においては、“書き言葉”で喋ってしまうと、
話す側の気持ちが乗らなかったり
聞き手に伝わりづらくなったりするんですね。
では、人前で話す場面における、”話し言葉”と”書き言葉”の違いをあげてみます。
“書き言葉”で話している例
『本システムは、処理の高速化を実現でき、操作性も高いです。
また、従来からの音声遅延の問題も解消でき、ストレスなく利用できます。』
上記は、パンフレットに書いてありそうな“書き言葉”です。
音声にも録ってみました。
※音をミュートに設定していますので、小さめの音量からお聞きください。
ここで言う“書き言葉”の特徴の1つは、
『~でき、』
『~しており、』
『~し、』
と、語尾を切って止めること。
もう一つの特徴は、
漢語(漢字の音読み)の単語を多用していること、です。
上記は、「です・ます」調なので、
そのまま話しても、特に問題はないように思われるかもしれません。
はい、このまま喋っても「大きな問題は」ないのです。
問題はないのですが、
硬いイメージになったり
気持ちがこもっていない話し方になったりして、
聞き手の共感や、親近感を得ることが難しいです。
ということは、
聞き手との心の距離が近くならない
ということです。
また、“書き言葉”は
漢語(漢字の音読み)の単語が多くなりますから、
文字を読む時は良くても
“話”、つまり”すぐに消えてしまう音”となった時に
聞き間違いが起きたり
一瞬意味が分かりづらかったりすることもあり得ます。
そこで
「気持ちを乗せて、分かりやすく、伝わるように話す」ためには、
“話し言葉”に変えた方が良いのです。
すなわち
「目の前の一人の人に語りかける時」
と同じような言葉で話すのです。
“話し言葉”に変えて話した例
『こちらのシステムは、より高速に処理できるようになったうえに、操作性にも優れています。
また、これまでの音声が遅延するという問題も解消できておりますので、ストレスなくご利用いただけます。』
“話し言葉”は、
文字に起こすと、見づらいし、理解もしづらいですから、
音声でもお聞きください。
※音声をミュートに設定していますので、小さめの音量からお聞きください。
“書き言葉”で
『~でき、』
と、切って止めていたところを、
“話し言葉”では
『~できるようになったうえに、』(追加)
『~できておりますので、』(理由)
と、次に続く言葉への「つながり」を分かりやすく表現できています。
また、“書き言葉”から“話し言葉”へは、
『本システム』 → 『こちらのシステム』
『処理の高速化』 → 『高速に処理できるようになった』
『従来からの音声遅延の問題』 → 『これまでの音声が遅延するという問題』
のように、
「話=音」として聞いた時に、分かりやすい平易な表現にしています。
目の前の一人の人に話す時、より打ち解けて、分かりやすく話すためには、
硬い表現や、漢語ばかりの表現は使わないのではないかと思います。
ですから、人前で話す時にも、
「一人の人に」語りかけることを意識した言葉選びを
心がけていただきたいと思います。
まとめ
人前でも、自分の言葉で問題なく話せる人は良いのですが、
人前に出ると、文章を読んでいるような“書き言葉”で喋ってしまう人は、
- 語尾を切って止めることを多用しない
- 漢語(漢字の音読み)の単語を多用しない
- ”話”とは、目で見る”文字”ではなく、一瞬で消える”音”であることを認識する
ことに気をつけると、
人前でも、もっと分かりやすい、伝わりやすい話ができるようになるでしょう。
一人の人に話しかけるようにして、聞き手との心の距離を縮めることは、
”伝わる話”にとって、大切なことです。