時系列(現在・過去・未来)で話す時の注意点【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川です。
仕事で報告をする時や、説明をする時などにも、
時系列に沿って話していくことが、よくあると思います。
また、過去のこと、現在のこと、未来のこと、などを対比させて話したり、
すでに完了したこと、完了していないことなどを、並べて話すこともあるでしょう。
その時の話し方に注意しないと、言っている内容が伝わらない、分かりにくい話になってしまいます。
ちょっとしたポイントを押さえるだけで、グッと分かりやすくなりますので、
そのコツを書いていきたいと思います。
文法上の「過去」・「現在」・「未来」
まず、文法上での表現として、
- 「過去」…〇〇でした。
- 「現在」…〇〇です。
- 「未来」…〇〇でしょう。
のような、文末の表現がありますね。
文章であれば、この文末の表現によって、いつのことを言っているのか分かります。
もちろん、”話”でも分かるはずなのですが、
“話”は、次々と流れて消えていくという特性がありますから、
聞き手の耳にしっかりと内容が残るように工夫しないと、
「今、いつのことを言っているのか」「何がいいたいのか」が分かりにくくなってしまうのです。
一つ例をあげましょう
時制がはっきりしない話の例
①5年以上かけても、会社から求められていた商品を開発することが出来ませんでした。
②それが、やっとこの商品を発売することが出来ました。
③消費者の意見をフィードバックして、改良を続けていきます。
上記の”話”では、文末の文法だけを単純に見ると、
①と②が「過去」のこと
③が「現在」のことを言っているように見えます。
でも実際には、話し全体のニュアンスから読み取ると、
①が「過去」
②が「現在」または「ごく近い過去」
③が「未来」
のことを言っているのですね。
これを”文字”ではなく、“話”として聞いた時には、話のニュアンスを読み取ることが難しくなって、
「いつのことを言っているのか」が分かりづらくなってしまうんですね。
現在・過去・未来を明確に伝えるには
「いつのことを言っているのか」
「事象がどう移り変わっているのか」
を的確に伝えるコツは、『いつ』を表す言葉をしっかりと話の中に入れることです。
先ほどの例でやってみましょう。
1.『いつ』を表す言葉を入れる
①これまでは、5年以上かけても、会社から求められていた商品を開発することが出来ませんでした。
②それが、今月、やっとこの商品を発売することが出来ました。
③これからは、消費者の意見をフィードバックして、改良を続けていきます。
このように、『いつ』を付け足すだけで、”話”として分かりやすくなるのです。
これは、「言わなくても当然分かるだろう」と思わずに、あえて付け足すことが、話す上では大切です。
さらに、言葉や言いまわしを変えて、対比を強化することで、一層、事象の移り変わりが伝わるようになります。
また同じ例でやってみましょう。
2.言葉や言いまわしを変えて対比を強化する
①これまでは、5年以上かけても、会社から求められていた商品を開発することが出来ませんでした。
②でもついに今月、長年の努力が実って、商品の発売までこぎ着けることが出来ました。
③とはいえ、これからも、消費者の意見をフィードバックして、改良を続けていくつもりです。
上記では、②のところで、
元々『やっと』とだけ言って表現していたニュアンスを、
『ついに』『長年の努力が実って』『こぎ着ける』という表現を使って、
①の「長かった過去」と、②の「現在」との対比が、一層伝わるようにしています。
また、③のところでは、
「目標は達成したけれど、まだ努力し続ける」というニュアンスを、
『とはいえ』『つもりです』などの表現で、付加しました。
こうすることで、②の「現在」と、③の「未来」との対比もはっきりします。
このように、”話”をする時には、
「いつのことなのか」や「移り変わりの対比」が分かる表現を、重ねて入れることで、やっと、
時間の流れや、言いたいニュアンスが伝わるようになるのです。
それくらいしないと、“話”は、一瞬で流れ去ってしまうので、聞き手の印象に残りにくいのです。
まとめ
このように、時系列にそった話をする時には、
文法上での過去形・現在形・未来形だけに頼った表現だけでは、
的確に伝えるためには、”弱い”のですね。
また、過去・現在・未来と並べて話すからには、そこから伝えたいニュアンスがあるはずです。
それを表現できる言葉や、言いまわしを身につけて、的確に付け加えられるようになりましょう。
そうやってやっと、誤解されずに、聞き手の中に残る話となりうるのです。