長時間のプレゼンやセミナーで、ウトウトする人の”目を覚ます”話し方の工夫【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。
プレゼンやセミナーをすることになったとき、
話す側としては、緊張しながら頑張って喋っているのに、
聞き手はウトウト眠そうにしている・・・なんてこと、ありますよね。
実際に眠ってしまうまではなくても、
つまらなそうにされたり
下を向いたまま聞いている様子がなかったりすることは
あるのではないでしょうか。
これは、自分が”聞く側”に立ったら、気持ちはよくわかりますよね。
聞き手が究極に寝不足だったり
元々興味がない内容を、仕事上で聞かなければならなかったり
など、色々と理由はあるとは思います。
でも、やっぱり、せっかく話しているのだから、
最後まで聞いてもらいたいですよね。
聞く側として”目が覚めた”経験
もう25年近く前の出来事ですが、
落語家の桂米朝さん一門の寄席のチケットをいただいて
行く機会がありました。
その当時の私は、特に落語に興味があったわけでもなかったし、
正直、桂米朝さんもはっきりとは存じ上げていませんでした。
ですから、その日は朝方まで起きていて、
ほとんど寝ていない状態で落語を観に行ったのです。
当然、寄席で座った途端に
自分では抵抗できないほどの睡魔が襲ってきて、
ずーっとコクリコクリと船を漕いでいる状態でした。
その時の寄席では、
一門の若いお弟子さんから順番に落語を披露されていって、
最後のトリが米朝さんでした。
お弟子さんの中には
テレビで活躍されていてよく名前を知っている方もいらっしゃったので、
落語を聞けるのを楽しみにしていたのにも関わらず
睡魔には勝てず・・・
もったいないし大変失礼なことなのですが、
結局、お弟子さん方の落語は
まったく聞くことができなかったのです。
それが!不思議なことが起こりました。
トリで米朝さんが話を始められた瞬間、
私の目がぱっと覚めたのです。
米朝さんの話だけは、完全に目が覚めた状態で
引き込まれながら聞くことができたんですね。
落語ですから、お弟子さん方の話の内容も、
すべて面白かったはずなのです。
そして、お弟子さん方の話し方も、
もちろん皆さん充分に鍛錬されたものだったはずなのです。
では、米朝さんだけ、何が違ったのか・・・
今となってもはっきりとは分からず、考えるのですが、
“その場の空気”を一瞬で全部つかんで
最後まで離さない”なにか”があったのです。
それ以来、あの日の米朝さんの”聞き手の心をつかむ術”を
高すぎる目標として掲げています(笑)
今回の内容を動画でご覧になる場合はどうぞ↓
話す側として”目を覚ます”経験
私自身も
たくさんの人の前でプレゼンやセミナーをした経験があるのですが、
そこでまず気を付けることは
話し始めの第一声です。
恐れ多くも、米朝さんの
「話し始めた一瞬で心をつかむ」
を目標にしていますから、
“第一声が、心をつかむ最初の勝負”と思って
話し始めます。
ここで心をつかめないと
話を進めていっても聞いてもらえないのです。
話し始めの工夫
- 会場を見渡す
- 通る声をポンっと出す
- 自分のエネルギーで全員を包むようにイメージ
などをして、
話し始めの瞬間から、聞き手の心をつかめるように工夫をしています。
1.会場を見渡す
人前に立って、すぐに話し始めると
性急な印象が残りますし、
自分自身の心の準備もできません。
聞き手がいる空間全体を軽く見渡して、
空気感を感じてから話し始めるのがいいです。
これは、オンラインの場合も同じですね。
人前に出て、話し始める前に
「今から始まるぞ」という
一瞬の”シーン”となる空気を作るのにも有効です。
2.通る声をポンっと出す
第一声に「えー」「あのー」と話し始める人が多いのですが、
ダラダラと始まった印象になって
聞き手の注意を引くことができません。
また緊張や、気後れした気持ちを引きずったまま
弱々しい声で話し始めてしまうのもダメです。
通る声でポンっと始めることで、空気を変える効果があります。
3.自分のエネルギーで全員を包むようにイメージ
聞き手が複数であれば、
話す側には、それだけの人へエネルギーを注ぐ覚悟がいります。
それだけのエネルギーを持って話さないと、
なかなか伝わらないんですね。
ですから、第一声から
自分のエネルギーが、聞き手全体の方へ向かうような気持ちで
話し始めるのがいいでしょう。
ウトウトした人の目を覚ます工夫
とはいえ、話が長時間になると、
やっぱり中には、ウトウトしてしまう人も出てくるのですよね。
特に、暖房などでポカポカしてくると、
そういう人は多くなってしまいます・・・。
そこで、私自身が
そのような人の興味を引こうと試したこととしては
- 聞き手に答えてもらう
- 声の表現を急変させる
- 自分の話を入れる
などをやっていました。
1.聞き手に答えてもらう
こちらばかりが話すのではなく、
聞き手に質問をしたり、問いかけをしたりして
答えを聞くようにするのですね。
これは、これまでと同じリズムで話しながら
『どうですか?』
と急に話を振るのは不親切です。
『ではここで、皆さんのご意見も聞いていきたいと思います。』
などと、これまでとは空気を変えるように言ってから
答えてもらうようにするといいですね。
2.声の表現を急変させる
1.で空気を変える時も同じなのですが、
これまでの話の雰囲気を打ち破るように
勢いの良い、明るい大きめの声で
『それでは!』
『ここで!』
などとポンっと出すことで、
「話が切り替わる」効果が出せます。
変化がついて、話の空気感が変わることで
再度注目をひくことができます。
3.自分の話を入れる
これまで説明が多かった場合には、
関連した自分の体験談や自分の気持ちや
他人の体験談などを、
余談をするように少し親しみやすい砕けた言葉で話すことで、
ふと注目を引くことができます。
どうしても、難しい説明が続くときには、
会話の様子をそのまま引用して話すなどしても、よいと思います。
いずれの場合も、
話の雰囲気・場の空気をガラリと変えることがポイントです。
どうしても、
同じような声で
同じような口調で
同じ言いまわしの話が長く続いてしまうと、
聞き手は睡魔が襲ってくるのですね。
また、長く話しているうちに、自分自身も疲れてきて
聞き手に向けるエネルギーも下がってしまいかねませんので、
常に聞き手に話しかけて
心をつかみ続けようとする「気持ち」も大切です。
どんなに睡眠不足の聞き手であっても
パッと目が覚めるような話をしたいものですね。