無意識に使っている敬語、正しいですか?【大阪/マンツーマン話し方教室】

ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。

 

今日は、よく間違って使われている”敬語”について書きたいと思います。

 

 

日常やビジネスの会話に限らず、

プレゼンや面接などでも、敬語を使う場面は多々あると思いますが、

皆さんは正しい敬語を使われていますか?

 

敬語の正誤をよく認識せず、

なんとなくテレビや周りの人たちが話している敬語を、

無意識にそのまま使ってしまっていることも多いのではないかと思います。

 

 

最近、間違った敬語を耳にすることが多いのですが、

このままいけば、今は「間違った敬語」でも、

将来は「正しい敬語」になっている可能性はあるな、と思っています。

 

言葉は変化するものなので、

「間違った敬語」を使う人が多数になれば、

それは正当な「日本語の敬語表現」と認定されるからです。

 

長い歴史を経て、言葉の意味が変わった日本語は、数々ありますもんね。

 

 

では、現時点では間違っているとされている敬語で、

私がよく耳にするのが、以下です。

 

  1. 二重敬語
  2. 尊敬表現と謙譲表現が混在
  3. 「~させていただく」

   

1.二重敬語

私が一番よく耳にする、間違った敬語が、これです。

 

二重敬語とは、「尊敬語」を重ねているものです。

 

「尊敬語」とは、

相手の行動・動作を、相手を敬って表現する敬語です。

 

二重敬語の例としては、

  • 『おっしゃられたように…』
  • 『ご利用になられる際には…』

と言うような場合です。

 

 

①『おっしゃられたように…』では、

「言う」の尊敬語が「おっしゃる」であり、

これだけで尊敬表現になっています。

 

ですから、

『おっしゃったように…』

と言うのが正しい敬語です。

 

これに、尊敬表現を表す「~れる・~られる」を重ねて付けることで、

二重敬語になってしまっています。

 

 

②『ご利用になられる際には…』の場合でも、

「利用する」の尊敬語が「ご利用になる」ですので、

『ご利用になる際には…』

が正しい表現です。

 

そこに尊敬表現の「~れる・~られる」を重ねて付ける必要はありません。

 

この二重敬語が増えたのは、

テレビの影響も大きいのではないかと、私は思っています。

 

テレビなどで、政治家が、この二重敬語を多用しているからです。

『〇〇先生がおっしゃられたように…』


これは私は、政治家の世界の慣習や業界用語のようなもの

(他の政治家の先生を、敬語を重ねて持ち上げる)

ではないかと思っているのですが、どうなのでしょう?

 

 

いずれにしろ、つられて誤用しないように気を付けたいものです。

 

ちなみに、皇室に対して使う二重敬語は、間違いではない、ということになっています。

 

 

2.尊敬表現と謙譲表現が混在

まず、前提の知識として、

  • 尊敬表現(尊敬語)は、相手の行動・動作を、相手を敬って表現する

  • 謙譲表現(謙譲語)は、自分の行動・動作を、自分がへりくだって表現する

の2つがあります。

 

そして、よく誤用されている例は

  • あちらでお伺いください』
  • 『頂かれましたか?』

などです。

 

 

①『あちらでお伺いください』は、

目上の人に対して、

「あちらで聞いて(質問して)くださいね」という意味で言っているのですが、

 

「問う」の謙譲語の「伺う」と、

尊敬語の「お〇〇になる」(〇〇は動詞)を

混在
して使用しています。

 

『あちらで伺いになって)ください』

と書くと分かりやすいかもしれません。

 

青字が謙譲語ピンク文字が尊敬語です。

 

 

「伺う」は謙譲語で、自分の行動・動作に対してへりくだって使う表現なので、

それに尊敬表現を重ねたところで、相手を敬っていることにはなりません。

 

正しい表現は、

『あちらでお尋ねください』

などです。

 

 

②『頂かれましたか?』も同様です。

 

目上の人に対して「もらいましたか?」、

もしくは、「食べましたか?」と聞いている場面で、

 

「もらう」「食べる」の謙譲語の「頂く」と、

尊敬語の「〇〇れる・〇〇られる」(〇〇は動詞)が

混在
しています。

 

正しくは、「もらう」や「食べる」の尊敬語を使って

『もらわれましたか?』

『召し上がりましたか?』

となります。

 

 

3.「~させていただく」

これは、日本語としては間違いという訳ではないのですが、

本来、謙譲表現にしたい自分の行動・動作を表す「動詞」が、

謙譲表現にはなっていません

 

それを理解して使っていただくのが良いかと思います。

 

例えば

  • 『見せていただきます』
  • 『聞かせていただきます』

などです。

 

 

①『見せていただきます』は、

『見せてもらう』の「もらう」の部分だけを

謙譲語「いただく」にしたもので、

肝心の「見る」という動詞は、謙譲語にはなっていません。

 

「見る」という動詞を謙譲表現にすると、

『拝見します』

となります。

 

 

②『聞かせていただきます』も同様に、

『聞かせてもらう』の謙譲表現で、へりくだってはいるのですが、

「聞く」という動詞は謙譲語になっていません。

 

『拝聴します』

『お聞きします』

などをその場に応じて使うと、美しい敬語になります。

 

 

このように、「動詞 + させていただく」が完全な敬語だと思って使うと、

「させていただく」を多用してしまうことになり、

伝わりにくい表現になりますし、洗練された敬語表現とは言えません。

 

 



美しい敬語を使って話すことは、当然、印象アップにもつながります。



反対に、間違った敬語を使ってしまうと、

嫌な気分になる相手もいるかもしれません。



自分が無意識に使っている「言葉」に、少し意識を向けてみるのも良いと思います。