人前で話すための”語彙力”を伸ばすには【大阪/マンツーマン話し方教室】

ご覧いただきまして、ありがとうございます。
人前で話すビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川です。

 

今回のテーマは、話す時の”語彙力”についてです。

 

プレゼンやスピーチなどで「もっと色んな表現ができたら、聞き手の反応が変わるのかな?」と思っていたり、

会議で発言したけど「もっと分かりやすい言葉で言えたらよかったな」と後から反省したりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

ビジネスパーソンで、語彙力を伸ばしたいと思われている方は多いと思います。

 

私が思うに、文章を“書く”ときの語彙力の伸ばし方と、“話す”語彙力の伸ばし方は、少し違うんですよね。

 

“書く”時には、ちょっと難しめの表現や、慣用句、四字熟語、ことわざ、大和言葉などを織り交ぜると、

知的センスのある文章になって、表現の幅が広がります。

 

例えば、

  • 食指が動く
  • ぬかに釘
  • 荒唐無稽(こうとうむけい)
  • 粉骨砕身(ふんこつさいしん)
  • 傀儡(かいらい)
  • 胸をつく
  • たおやか

などなど。

そして、このような“書く”語彙力を伸ばすには、様々な書籍や小説等の文章を読むのが一番だと思います。

 

では、“話す”時はどうでしょうか。

 

“話す”ときの語彙力とは

“話す”時に大切なのは、聞き手が、”一瞬で消える音”を聞いて、すぐに理解できる言葉で話すことです。

 

文字であれば、少し難しい言葉であっても、漢字を見ればなんとなく意味が分かったり、意味を調べたりすることもできます。

ですが、“話”は、聞いているその瞬間瞬間で、言葉の意味を理解して、さらに順を追って”話全体”の内容を理解しなければなりません。


聞き手は、一つ理解できない言葉が出てくると、その先の話についていけなくなる可能性もあるわけです。

 

ですから、書く時と違って、”音”で聞いて、一瞬で理解できない言葉は、話す時には使うべきではないと思っています。

(もし難しい言葉や専門用語を使う時には、補足説明をすればよいのですが、ここでは言及しません。)

 

“話す”語彙力とは、皆が理解できる言葉を使って、多彩な表現ができること、だと思うのです。

 

“書く”語彙力と、”話す”語彙力が違うと感じる場面

教室の生徒さんで、本をよく読む方が、スピーチ原稿を書かれると、

まさに小説などに出てきそうな”文章センスのある言葉”を使って書かれるんですね。

 

自分の中に、たくさんの語彙があって、それを使えることは、とても良いことだと思います。

(私にはないのでうらやましいです・・・笑)

 

でも、その原稿をそのまま話したところで、全然心に響かないんです。

聞いていて

「あーなんだか素敵な文章に出てきそうな、キレイな表現だなー」

「なんだか借りてきたような言葉だなー」

と思ってしまうんですね。

 

そこで、「普段、こんな言葉を使って話しますか?」と聞いたら、答えは「No」なんです。

普段話す時に使っていない言葉で、いきなり人前で話そうとしても、ぎこちないし、心がこもるはずがありません。

 

“自分が知っている語彙”ではなく、”自分の中の話し言葉”を使って話さなければ、伝わる話にならないのですね。

 

“話す”語彙力を伸ばすには

それでは、”話す”語彙力を伸ばすのに有効な方法を2つご紹介しましょう。

  1. 言いかえ表現を考える
  2. 具体的に表現する

1.言いかえ表現を考える

一つの言葉であっても、別の表現に言いかえができるはずです。

例えば、上司から「先週、社外セミナーに参加して、どうだった?」と聞かれた時

『勉強になりました』と答えたとします。

ここで、『勉強になりました』以外で、同様のニュアンスの表現がないかを考えてみましょう。

 

  • 『知らなかったことをたくさん学べました。』
  • 『新しい知識が新鮮でした。』
  • 『今後の業務の参考になりました。』
  • 『ためになりました。』
  • 『使える知識を増やせました』

などなど、同じ意味合い・ニュアンスで、他の言葉に言いかえられると思います。

そして、この言いかえでは、特に難しい言葉や、知らない言葉を使ったりせず、平易な言葉で表現を変えていくのです。

 

このように、後からでも、「あの時言ったことを、もっと他の表現ができなかったかな・・」と考えて、

言いかえを声に出していくことで、”話す”語彙力、つまり表現方法の幅が広がっていきます。

 

2.具体的に表現する

次に、一つの言葉を具体的に表現できないか、を考えていきましょう。

先ほどと同じ、『勉強になりました』という言葉で例をあげてみます。

 

社外セミナーが勉強になったのは、

  • なぜ?
  • なにが?

という観点から、『勉強になりました』を具体的な表現にしていきます。

 

  • 『実践形式のセミナーだったので、今の自分の課題を解決することができました。』

  • 『社外の人達とディスカッションして、自分にはない考え方に刺激を受けました。』

 

このように、具体的に考えていくことで、一つの事柄を豊かに表現できるような、”話す”語彙力を増やす訓練をしていきます。

 

この時も、具体的な表現の中に、難しい言葉を入れる必要はありません。

あくまでも、普段話しているような言葉で考えればよいのです。

 

まとめ

“話す”語彙力を伸ばすには、たくさんの日本語を覚えるよりも、

誰もがすぐに理解できる言葉を使って、表現に幅をもたせることに重点を置くのがよいと思います。

 

そのために、

  1. 言いかえ表現を考える
  2. 具体的に表現する

という訓練を、試してみて下さい。

 

そして、頭で思いついた表現は、“声に出して”言ってみることをおすすめします。

そうすることで、一層”自分の言葉”に近づいて、普段から使えるようになると思います。