腹式発声で話すには、お腹に力を入れるだけではうまくいかない【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。
今回は、話す時の発声方法についてです。
人前で話す時には、腹式発声をおすすめしています。
また、1対1の対話であっても、お仕事などでしっかりと言葉を伝える場面では、
腹式発声が必須のスキルです。
最近では、ソーシャルディスタンスをとって、マスクを着用しながら話していることが多いと思いますので、
ますます腹式発声の必要性を感じています。
腹式発声ってなに?という方は、過去記事をご覧くださいね。
話す時に必要な腹式呼吸についてまとめ
伝わる話し方の基本!「話す時の呼吸」を身につける練習法

今回の内容を動画でご覧になる場合はどうぞ↓
さて、腹式発声をすること自体は、さほど難しくありません。
一番簡単なのは、あお向けに寝て、全身の力を抜いてリラックスした状態で、
天井にまっすぐ声を当てるように出すと、自然と腹式発声になるでしょう。
全身はだらんとリラックスしたまま、
声を出している時だけ、腹筋に力が自然と入るのを感じられるでしょう。
同様のことを、ソファーにどっかりと座りながらでもできるはずです。
なぜ、このような方法だと腹式発声が自然に、簡単にできるのかというと、
体、特に上半身がリラックスできているからです。
これが、仕事であったり、ちょっと緊張感のある場面で話すとなると、
腹式発声ができなくなってしまうんですね。
そういった場面では、
呼吸が浅くなった状態で喋ろうとして、声が弱々しくなったり、
語尾ごと(言葉ごと)にブチブチと途切れるような聞きづらい話し方になったり、
声が上ずって喉が閉まった状態になって、声が出ずらかったりします。
これらはすべて、上半身にムダな力が入ったり、体が固まってしまっているために起きます。

しかも、そんな風に体に力が入ったり、固まってしまっていることに、
本人は気づかないことが多いのです。
そのような状態で、腹式発声をしようとしても、無理なんですよね。
腹式発声は、腹筋ではなく”横隔膜”を動かす
腹式発声の必要性を感じて、練習された方は、
仕事や人前などで、腹式発声で話そうと意識されると思います。
その時、いわゆる「お腹から声を出す」感覚で、頑張って腹筋に力を入れたり、
腹筋を意識して話そうとされる方が多いようです。
もちろん、その意識は間違っていない部分もあるのですが、
そもそも、腹式発声とは、腹筋を使って、肺の下面の「横隔膜」という筋肉を動かすことです。
- 息を吸う時に、横隔膜が下がって、肺の容量が広がる(腹筋がゆるむ)
- 息を吐く時に、腹筋を使って横隔膜を押し上げることで、息を肺から出す(腹筋に力が入る)

つまり、腹筋がゆるんで、横隔膜が下がり、肺に息がたっぷりと入っていなければ、
その息を、腹筋を使って吐くことができないわけです。
話す時に、腹筋に力を入れて声を出そうとしても、
上半身(胸や肩)にムダな力が入っていたり、体が固まっていたりすると、
腹式で息を吸えていない(横隔膜が下がっていない)のです。
いつでも腹式発声で話せるようになるには
腹式発声で、良い声で、表現力をもって伝わる話をするためには、
腹筋に力を入れる前に、「リラックス!」がポイントです。
先ほども書いたように、
自分でリラックスできていないことに気づかないことが多いので、
意識的に体の力を抜くことです。
話す前に、肩をグッと上げてからストンと落としたり、
首や腕を回してみたりして、
胸から喉にかけて入っている、ムダな力を抜いていきましょう。
リラックスしている時には、私たちは自然と腹式呼吸になって、横隔膜が下がってくれるのです。
また、話すためのたっぷりの息を肺に入れるには、
“ただの呼吸だけ”よりも、横隔膜を多めに動かさなければなりません。
デスクワークが多かったり、長時間喋っていないような状態では、
体と同じで、横隔膜の動きも悪くなっています。
つまり、息をたっぷり吸えない状態になっているんですね。
そんな時には、息をいっぱい吸おうとするのではなく、
まずは今、肺に入っている息を「フーー」と全部吐き切ることをしましょう。
「フーー」とまっすぐ前に、一定量の息を吐いていくと、ちょっと苦しくなるポイントがあると思います。
そこを我慢して、もう一押し!二押し!息を吐き切ってから、
体をゆったりとリラックスさせて、空気がいっぱい肺に入ってくるのを感じながら吸いましょう。
これを数回繰り返せば、どんどんたっぷりと息が吸えるようになって、横隔膜の動きもよくなってきます。
話をする前に、こうして横隔膜を動かしておくことも、腹式発声をするために大切なのです。
このように、「横隔膜を下げて吸う」ことができていないと、
当然、腹筋に力を入れても、腹式発声をすることができません。
腹式発声で話そうと思うとき、ついつい”腹筋”や”お腹”に意識がいってしまうと思いますが、
まず意識すべきは、「リラックスして吸う」ことです。
ぜひお試しいただいて、どんな場面でも、腹式発声で良い声で、聞きやすい話をしてくださいね。