良い声を出すコツは、頑張らないこと【大阪/マンツーマン話し方教室】
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ビジネスパーソンのための「声と話し方の教室」講師の砂川顕子です。
生徒さんを見ていると、
レッスンで発声する際に、ものすごく力んでいる方がいらっしゃるんですね。
私の印象ではありますが、
元演劇部の方とか、声優を目指していらっしゃる方など、
発声をちょっとかじった方などにも多い気がします。
また、発声練習などをやったことがなくても、
お仕事などで人前で話す機会が実際にあって、
「頑張って声を出さなきゃ!」
と思っていらっしゃる方も、
力が無駄に入ってしまうことが多いです。
発声をする時に力んでいる方は、
胸から上の上半身にすごく力が入っています。
それで声を張るので、いわゆる「固い声」になりがちです。
「頑張ってます!」感が、声に表れてしまうんですね。
そして、その声には感情が乗りにくいです。
試しに、ちょっとレッスンを横に置いて、
世間話など「会話」をすると、
声は随分小さくはなりますが、
リラックスして力まずに話されるんです。
その時の方が、声に感情が乗って、
言いたいことが良く伝わってきます。
レッスンの発声や、人前で話す時には、
自分の普段の声よりも大きな声を頑張って出さなきゃ!
という感覚があるのかもしれませんが、
それが逆に、良い声を出すネックになっているんですね。
良い声を出したり、通る声で話したりするのに、
そんなに力む必要もなければ、
頑張りもいりません。
腹式呼吸で、腹筋を使って発声することをお教えしていますが、
それが体に馴染んでくれば、
上半身をガチガチに力んで声を出すよりも、随分とラクなはずです。
上半身の胸・肩・首・顎よりも、
腹筋は強い筋肉ですから、
腹筋だけを使って、あとは全部リラックスした状態で話せるのです。
そして、腹筋を使うといっても、
そこまで強い力は必要ありません。
たまに
『腹筋を鍛えた方がいいですか?』
と聞かれるのですが、
鍛えたければどうぞ、という程度でしょうか。
外側から筋肉をつけて、鍛えるのではなく、
腹式発声をしているうちに徐々に鍛えられたり、
使い方が身に付いたりするものだと思っています。
とにかく、
頑張って声を張らなきゃ!
声が通るように出さなきゃ!
という意識がある方は、
その認識を変えていただいたうえで、次のことに留意して発声してみましょう。
- 発声をする時は、まず脱力!
- ため息の声を腹筋を使って出してみよう
- 声の大きさではなく、響きに注目
1.発声をする時は、まず脱力!
発声練習をする時は、良い姿勢で!
と教わったり、
そう思い込まれている方も多いと思います。
また、人前で話す時も、
いつもより背筋が伸びて、良い姿勢でいたいと思いますよね。
ですが、初めから良い姿勢になって発声練習をしてしまうと、
リラックスしている時とは違う!と体が反応してしまって、
肩や首や胸に、ガチガチに力が入ってしまうことがあるんですね。
頑張ってしまう癖がある方は、少し姿勢が悪くても良いので、
自分がリラックスできる姿勢で発声の練習をしましょう。
家でソファーにダラッと座っているような姿勢でも良いので、
その状態で息をまっすぐ吐いてみたり、
声を出してみる練習からやってみましょう。
声を出す時は頑張らない!
ということを、体と意識に癖付けることが大切です。
2.ため息の声を腹筋を使って出してみよう
ちょっと疲れた時や、残念なことがあった時、
『はぁ~』とか
『あ~ぁ』とか
ため息交じりに声が出ることがありますよね。
息交じりで自然に出た声は、
自分が一番ラクに出せる声だと思ってください。
普段、頑張って声を張って話しているトーンよりも、
ちょっと低いと思います。
そのラクに自然に出るトーンの声で、発声をしてみましょう。
頑張って声を出さなきゃ!と声を張った場合、
上ずった声になりがちです。
訓練が出来ていない状態で、高めのトーンの声を出すと、
喉を絞めてしまったり、喉に力が入ったりしがちですから、
ちょっと低めのラクな高さを自分で認識しましょう。
そして、リラックスした姿勢で、ラクに出せるトーンの声で、
『はぁ~』『あ~あ』
など何でもいいので、少し遠くの人に言うように言ってみましょう。
そうすると、自然と腹筋を使って発声しているはずです。
体は全部リラックスしていてる中、
声を出すときだけ腹筋を使って、
息を、口からまっすぐ押し出す感覚です。
大きな声を出そうと思わなくて大丈夫です。
勝手に声が出ている、くらいの意識が良いです。
“頑張りの意識”が入った瞬間に、
肩や喉に力が入って、声が上ずるので、注意しましょう。
頑張るのは「声を出すこと」ではなく、
「体の使い方を覚える」ことです。
3.声の大きさではなく、響きに注目
人前で話す時、
「みんなに聞こえるように大きめの声を出そう!」と思って、
声を張って話される方は多くいらっしゃると思いますが、
「良い響きの声を出そう!」
と思って話される方は少ないですね。
響く声の出し方を知らないということもありますが、
そもそも話す時の「声の響き」に注目されている人は、少ないと思います。
良い声・通る声に大切な要素は、
声の大きさよりも、声の”響き”のほうです。
大きな声でなくても、
良く響けば、良く通る声になります。
よく響く声の出し方を習得すれば、
無駄に声を張る必要もなくなるのです。
そして、日本語の中で響く音というと、
母音『a i u e o』です。
この母音は、日本語の「ん」を除く全ての音に含まれます。
例えば、『かきくけこ』の場合
『ka ki ku ke ko』
と、子音「k」の後に必ず母音がつきます。
声が響かない人は、
この母音がしっかりと出ていない(響いていない)のです。
特に、頑張って発声してしまう人は、
力むことで、子音ばかりを強く発音してしまう傾向があります。
子音は、元々、音として響きませんから、
いくら強く発音しても、
口の中で作る歯擦音や、破裂音が聞こえるだけなのです。
話す時には、
言葉の中で、母音が次々と瞬時に入れ替わるわけですから、
母音をしっかり発音していくには、
リラックスしつつ、
吐く息安定させる(腹筋で支える)動作が重要になります。
母音がしっかりと聞こえる話し方になると、
響く声・はっきり聞こえる声に変わりますよ。
良い声・通る声を出す上で、
「頑張る」ことは逆効果です。
頑張ろう!頑張らねば!という意識を持っている方は、
とてもやる気がありますし、
私も応援したくなるのですが、
その意識をちょっと違う方向に逸らすことができたら、上達が早いと思います。